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生産性と効率の違い

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現在、日本では「生産性」向上の話で持ちきりです。

しかし、今行われている議論はそのほとんどがイメージ先行で、実際の取り組みに繋がらず効果を出すところまで到達できていないのが現状です。
その理由は7つに集約することができるのですが、今回は特に「生産性と効率の違い」を取り上げてみたいと思います。

企業の目的を一言で言うならば、「資源を効率よく使って儲けること」です。
そのための指標が、投入資源に対する利回りで評価する「面積原価利益率」です。

「面積原価利益率」については、別途当HPで詳細に説明していますので、そちらをご覧頂くとして、このような話を中間管理職や一般社員にすると皆さん、ポカンとして何かピンとこないという表情をされることがよくあります。

面積原価管理のコンサルを始めた当初は、何か間違ったことを言っているのかな?と不安になったことも一度や二度ではありません。

しかし、その理由が最近ようやく分かりました。
それは一般社員にとっての「生産性」は、経営者にとっての「生産性」とは、違っているという事実です。

普通、「生産性」という言葉を使うとき、一般社員は自らの「仕事」の効率をイメージします。
たとえば、製造業で言えば製品をいかに速く加工・組み立てられるかでしょうし、IT事業者ならいかに速く仕様通りのプログラムが書けるか、というような事になります。

つまり、自分に直接関わる「仕事」の効率を「生産性」として捉えています。
それは当然です。その「仕事」を効率よくこなすことが、社員に与えられた使命だからです。

しかし実は、個人の仕事の効率と会社の生産性との間には、大きなギャップがあります。
個人の仕事の効率を上げても、それが直接会社の利益にはなかなか繋がらないからです。

例えば、作業員がいかに速く製品を作れるようになったしても、販売の見込みのないものを作りすぎては、それは過剰在庫です。
トヨタ生産方式でいう「作りすぎのムダ」になってしまいます。

プログラマーがプログラムをいかに速く書けるようになっても、クライアントとの契約が人月単価で決められていれば、会社の利益向上には直接は繋がらないのです。

「そんなこと当たり前だ!」と言われる方がいらっしゃるかも知れませんが、私が多くの企業と係わった経験では、ほとんど99%の企業で、一般社員の効率向上を会社の生産性向上に繋げるための意図的な取り組みが行われていません。

その結果会社に起こる現象は、改善活動の停滞です。

すれ違った生産性の考えで改善活動を行っていても、決して会社の「生産性」は上がりません。

このようなギャップをはっきり経営者と一般社員に認識してもらうために、コヒーレント・コンサルティングでは、「生産性」に係わる概念を2つに分けて使っています。

つまり、「効率」を個人の仕事の効率、「生産性」を会社の儲ける生産性という使い分けをしています。

辞書的な意味では、「効率」「生産性」という言葉にはこのような違いはないのですが、個人と会社の生産性の違いを明確に認識して頂くためにこのように表現を使い分けています。

個人の「効率」向上を最終的には会社の「生産性」向上に繋げなければなりません。

そのために私のコンサルでは、まず経営者に「効率」と「生産性」の違いを理解して頂きます。

次に、一般社員に自分の仕事の「効率」をどのように改善していくか、問題要因分析を行ってもらい実行すべき対応策を立案します。
合わせて「効率」を評価するKPIもセットで考えます。

さらに、「効率」を「生産性」に繋げるための問題点要因分析を行い対応策を立案、実行していきます。
案件や商品の「面積原価利益率」を測定し「生産性」を評価します。

このような2ステップアプローチを行うことで、実際の企業のオペレーションを行っている一般社員にもスムーズに「生産性」向上を進めて頂く取り組みを実践してもらうことができています。

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