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面積原価コラム

連載企画『SCM最前線』

NEW 第二回: SCM構築の必要性・目的を明確にすることの重要性


1.今さらなぜ 「SCM構築の必要性・目的を明確化する重要性」 を取り上げるのか?

 

当コラム読者の皆様にとって、「SCM構築の必要性・目的を明確化の重要性」など当たり前で、なぜ今さら取り上げるのか?という疑問を抱かれるでしょう。 入社したての新入社員じゃあるまいし、そんな事は教えてもらわなくても百年前から分かっている、という声が聞こえてきそうです。

それにもかかわらず、今回敢えてこれを採り上げるのには大きな2つの理由があります。

 

しかし、各社のSCM実現レベルには、大きな格差が生じています。 

 

■理由1: 日本製造業のSCM効率は低く、日本こそSCM構築に全力を上げるべき

■理由2: SCM構築が進まないのは、「SCM構築の必要性と目的」 が明確でないことが最大の原因

 

と考えるからなのです。

 

2.日本製造業のSCM効率は低く、日本こそSCM構築に全力を上げるべき

 

製造業のSCMに日々携わっておられる読者の皆様にとって、やや意外に感じられるかも知れませんが、日本製造業のSCM効率は、欧米に比べ著しく劣っています。

下図は、昨年内閣府で報告された各国製造業のROA、つまり総資本利益率の推移です。

 

各国における製造業のROAの推移

 

ROA(総資産利益率) = 利益 / 総資産

 

ROAは最近多くの製造業の決算報告でも採用されている指標であり、企業活動における投入資産に対する利益の比率を表す指標で、企業のSCM効率を示していると考えることができます。

 

日本製造業のSCMの低効率性は、明らかでしょう。

 

製造業の空洞化が課題であるアメリカと比較しても、ROAが半分にも満たない状況が永年に渡って続いています。程度の差こそあれドイツにも劣っています。

 

また同様に、日本製造業は、まったく儲かっていません。 

 

各国における製造業の売上高営業利益率の推移

 

上図は、各国の売上高利益率の推移で、同じく日本の製造業の低収益性も明らかでしょう。  

 

製造業に携わられている読者には、ご自身の感覚とギャップを感じられるのではないでしょうか? なぜなら、品質の高さやトヨタ生産方式に代表される日本の優れた製造能力に対する印象と、ROA、営業利益率の低さが、結びつかないからです。

 

製造業の活動の本質が、投入した資源から得られる利益の再投入・循環であるとするならば、低いROAは、グローバル競争において圧倒的に不利な立場に立たされることを意味します。

 

これは単に製造業だけの問題に止まらず、日本全体の大きな政策課題として永年認識されてきました。

その原因については、多くの議論がなされています。

 

●日本は、世界でも類を見ない競争の激しい市場であること

●日本における資本コストが欧米に比べ低水準であること

●企業活動全般における高コスト構造、など

 

です。 さらに、最近特に話題にあがっているのは、

 

●日本製造業の積極的な研究開発投資が利益に繋がっていないこと

 

です。

 

 下図は、各国製造業の研究開発投資と営業利益率との関連を、2000年台の推移として示したものです。

 

各国の売上高利益率・売上高研究開発率の分布

 

 

アメリカ、ドイツとも売上高に占める研究開発費率を低下させているにもかかわらず、売上高営業利益率を2倍以上に伸ばしています。一方、日本は、研究開発費率を増加させているにもかかわらず、営業利益率を低下させています。 

 

このことが、強い製品を生み出すマーケティング力・製品開発力、つまりECM(Engineering Chain Management)の強化が叫ばれている背景です。

 

製造業の基幹業務プロセス

 

ECMは製品のバリューを設計するプロセスです。

 

一方SCMは、設計された強い製品のバリューを利益として実際に刈り取るプロセスです。

 

いくら素晴らしい斬新な製品を生み出しても、SCMでそれを効果的に刈り取ることができなければ、底の抜けたザルと同じく本来獲得できる利益を垂れ流すことになります。

 

斬新な新製品を市場に投入し続けることは、至難の業です。 一躍脚光を浴びた新製品でも、それが市場に飽きられ業績が低迷し、市場からの退出を余儀なくされる例は数えきれません。 常に斬新な製品を世に送り出し続ける事を前提とする経営は、危うい経営と言わざるを得ません。 そこそこのバリューを持った製品であれば、しぶとく利益を確保する、そのような強靱なSCMこそが、企業の安定的成長のインフラであるといっても過言ではありません。

 

世界に類を見ない厳しい日本という市場で生き抜いている、そのため営業利益率が低い、資産効率が悪いと、泣き言を言ってみても仕方ないでしょう。 何としても儲かる企業の体質、つまりSCMを作り上げるしかないのです。

 

以上が、「日本こそSCMの構築に全力を上げるべき」 と考える理由です。

 

 

3.SCM構築が進まない最大の理由: 「SCM構築の必要性と目的」 が曖昧

 

SCMを確立することは、サプライチェーン全体に渡る意思決定とオペレーション・プロセスの再構築を意味します。 当然、その実現には膨大なヒト・モノ・カネと時間、および全社員の永続的なエネルギーが必要です。 そのためには、企業内部の強い動機付けが必須です。

 

その動機の源泉となるのが、「SCM構築の目的」 と背景にある 「SCM構築の必要性」 です。

 

つまり、「SCM構築の必要性と目的」が曖昧なことは、SCM構築のエネルギーを大幅に削ぐことになります。

 

これが明確にすることができない限り、あなたはトップにSCM構築の必要性を説明することすらできず、その取り組みを開始するはできないでしょう。

 

ところで、筆者はなぜ、 「SCM構築の必要性と目的が明確になっていない」 と考えるのでしょうか?

その理由は、2つあります。

 

■理由1: SCM目的が不明確なプロジェクトの散見

■理由2: 本質的な意味において 「SCMの目的」 とは何か?が曖昧

 

以下、それぞれ解説していきます。

 

 

4.SCM目的が不明確な多くのプロジェクト

 

「SCM構築の必要性と目的が明確になっていない」と考える最初の理由は、目的が曖昧な多くのプロジェクトを私自身が現実に見てきたからです。

 

もちろん、すべてのSCMプロジェクトの統計を取ったわけではないので、データの裏付けが有る訳ではありませんが、私の見たSCM構築のプロジェクトでは、その目的が不明確なものが大多数でした。

 

それでは、どのような基準を満たせば、「SCMプロジェクトの目的」が明確であると言えるのでしょうか?

 

私は、以下の3つの基準を満たすことだと考えています。

 

●SCM構築の必要性の明確化

解決すべき経営レベルのSCM課題が明確、つまり構築の背景が明確であること

●上記のSCM課題のどの部分をプロジェクト目的とするかの明確なスコープの設定

優先順位の高いSCM課題に狙いを絞ったSCM目的設定が行われていること

●数値目標の明確化

プロジェクト実行の結果得られる効果が具体的なKPI項目とその数値目標が明確化されていること

 

上記は、何もSCMプロジェクトでなくとも、一般のプロジェクトでも当たり前のことです。

特にこれを強調するのは、SCMプロジェクトではその取り組みの影響が全社に及び、また経営のあり方そのものにも影響を及ぼすため、その目的を明確化と全社的合意形成のハードルが高いためです。

また現実には、かなりのSCMプロジェクトが、「情報システムの老朽化更新」を契機に始まることが、目的を明確にできない大きな理由の一つでもあります。 結局SCM改革を推進する人たちが、あるべきSCMのイメージを描ききれないことが、SCMプロジェクトの必要性と目的を明確にできない大きな理由です。

 

これを打ち破るには、自社のSCMのあるべき姿を明確にイメージできる社内リーダーの存在とそのリーダーシップが、極めて重要です。

 

この役割は、社外の人間には肩代わりする事ができません。

その意味でも当コラムでは、少しでも社内リーダーのお役に立てる情報をご提供することを目的としています。

 

5.そもそも本質的な意味において 「SCMの目的」 とは何か?

 

さて、第3節で、SCMプロジェクトの目的を目的を明確化できない2番目の理由は、

 

本質的な意味において 「SCMの目的」 とは何か?が曖昧

 

であることを上げました。

これは少し分かりづらいと思いますので、解説したいと思います。

 

そもそも、SCMとは何でしょうか?

Webで調べてみるといくつかの定義を見つけることができます。 それらは、だいたい以下のように集約する事ができます。

 

現状におけるSCMの一般的定義

 

 

確かにその通りなのですが茫漠としており、これらの定義からはどのようなSCMを目指すべきなのか、具体的な判断基準とするには不十分であると言わざるを得ません。

 

また、明確な「SCMの目的」に直接言及したものは、見つける事ができませんでした。

 

このことが、一般の製造業において、そもそもSCMの目的・目標の定義を困難にしている根本的理由なのです。 当コラムの最終回で、本質的な意味におけるSCMの目的と評価指標についての提案を行いたいと考えています。

 

6.まとめ

 

今回のコラムでは、「SCM構築の必要性・目的を明確にすることの重要性」を取り上げました。

それは、まず

 

■日本は欧米に比べてSCM全体の効率が劣っており、特にSCMに取り組む必要性が強い

 

ということを、まず当コラムの読者の皆様にお伝えしたかったためです。

さらに、

 

■SCMの必要性と目的を明確にすることがSCMを進める上で最も重要だが、現実にはできていない

したがって、今後の連載では、

 

●SCMの目的・目標設定を容易にするため、あるべきSCMの姿:業界最先端のSCMを明らかにする

●一般論として、そもそもSCMの目的が明確でないので、その本来の目的と評価指標を提案する

 

ことを今後の掲載テーマとして盛り込んで行きたいと考えています。

 

さて、次回はいよいよ、「目指すべきSCMの姿」、S&OPについて、具体的にご説明したいと思います。

 

乞うご期待!

 

 

連載企画『SCM最前線』

第一回: 格差が拡がるSCM


1.『SCM最前線』 連載開始にあたって

 

今やSCMは完全に日本の製造業に定着しており、「SCM」という言葉を知らない製造業関係者は、もはやいないと言っても過言ではないでしょう。製造業企業にはSCMを支援する仕組みが、何らかの形で導入されているはずです。

 

しかし、各社のSCM実現レベルには、大きな格差が生じています。 

 

SCMの最先端テーマ「S&OP( Sales & Operations Planning )」を実現し、すでにそのメリットを享受している企業が生まれている一方で、SCMの基本とも言える需要データの共有化がまだできていない企業、部門の壁に阻まれブルウィップ効果を克服できずにいる企業など、様々なSCM実現レベルの企業が存在する事も事実です。

 

製造業の企業力は、製品開発力とSCM運営力の両輪で決まります。

 

競合他社を寄せ付けない斬新な新製品を市場に投入し続けられる強い製品開発力を維持することは至難の業です。さらに、それを前提として経営を行う事は、安定性に欠ける幸運頼みの経営と言わざるを得ません。製品開発力にたとえ陰りが出ても、そこそこの製品であれば効率的なSCM運営によって利益を確保できる、そのような強靱な企業の体力を確保するSCMの強化こそが最大の経営課題であると言っても過言ではありません。  

 

ただし、SCMのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かります。資金を大量に投入しても、なかなかこの時間を買うことはできません。

 

筆者は、永年S&OPなどSCMの最先端を走るお客様をご支援して参りました。本連載では、このような最先端を走るお客様の事例を基に、先進的SCM構築のヒントをお伝えできればと考えております。

 

今本連載では、最先端事例に基づいた単なるツール論ではない、

 

・取り組みの必要性

・背景 業務の基本的考え方

・組織

・段階的導入の手順

 

などについて、順次掲載して行く予定です。

 

さらに、S&OPをすでに確立された企業においても、なお残された課題である  

 

SCMのKPIとスコアカード

 

についても言及していく予定です。  

 

SCMの個別手法については、これまで長い時間をかけて様々な議論が行われてきました。 しかし、本質的にSCMモデルの優劣を定量的に評価できる指標は、提案されていません。   

 

当本連載の最後には、今まで提案されていなかったSCMモデルの評価指標である『面積原価』 についても言及していきます。

 

2.各企業のSCM格差は歴然!さらに格差拡大へ…

 

仕事柄、各企業のSCM責任者にお会いして、SCMの課題をお伺いする機会が多いのですが、最近お客様の課題認識のある傾向に気付きました。 

それは、

 

● 自社のSCMは決してうまくいっていない  

● 経営の、特に事業目標達成の役に立っていない

● しかし、何が問題なのか?どうすれば良いか?絞り込めない

 

SCMの実現レベル

 

などの共通した漠然たる問題認識です。 

問題を感じつつも、どうすれば良いか暗中模索というのが、SCMの現状のようです。  

 

もちろん、各社が一様にこのような状況にある訳ではありません。

 

まだごく一部ですが、SCMの最先端テーマであるS&OPに取り組み、すでにそのメリットを享受されている企業が存在することもまた事実です。 さらに、このような最先端の企業では、次々と新しいテーマを設定し、取り組みを着々と進められています。

 

このような意味で、製造業各社のSCMは、ますます格差が拡大しているというのが実感です。

 

3.SCM達成度は範囲よりも質が重要

 

これまで、SCMの達成レベルは、組織的・地域的広がりの進度を中心に語られてきました。

しかし、このような組織的・地域的広がりでは、SCMの達成度が語れなくなっています。広がりよりも、実現の質が問題です。 

 

下図は、「質」の視点から見たSCM実現レベルを示したものです。 

 

SCM概念とツールの進化

 

SCMの最先端S&OPに至るためには、下から一段ずつステップを進める必要があり、下のステップを省略して先のステップに進むことはできません。

 

ステップ1:「需要データの共有化・見える化」

 

「需要データの共有化・見える化」は、SCMを実現するための必須の前提であると考えられますが、まだ多くの企業で実現できていません。

 

このステップはSCMの豊かな果実を得るための先行投資であり、はっきりした効果が見えない中、販売側に大きな負担を強いるだけに、このステップでつまずいてしまう会社も多いのが現実です。

 

SCMのステップアップを妨げる壁

 

ステップ2:「実需と供給のリンク(ブルウィップ効果の克服)」

 

ブルウィップ効果は、需要のデータが供給側へと各部門を伝わる間に、部門間不信のためにその予測数量の鯖読みが行われ、その予測数量がムチのように大きく変動する現象です。

最終的に供給側に伝わる数量は、実需と大きく乖離することになるので、過剰在庫や販売機会損失の重大な原因となります。  

このように発生のメカニズムははっきりしているのですが、克服のためには販売と生産の部門を超えた実需を正確に受け渡す業務の仕組みが出来上がる事が必須です。

しかし、現実には部門間の利害対立のため、この様な仕組みを作り上げることは困難なため、いわゆる「グローバルSCMセンター」の様な組織を新たに作り、ここにSCMの責任と権限を集中する事で解決を図ることがよく行われています。

 

しかし、この様な変革には組織間の責任と権限の大きな変更が必要となるため、実現できている会社は決して多数ではありません。

 

ステップ3:「数量管理と財務管理の連携(S&OP)」

 

S&OPはSales & Operation Planningの略であり、これまで「数量」中心の世界であったSCMに「カネ」の視点を持ち込むことで、事業計画の達成をより確実にしようとするものです。 

この取り組みの背景には、SCMが経営本来の目的である事業計画の達成にあまり役立っていないとの反省が有ります。

SCMオペレーションの結果が事業計画の達成に直接リンクするので、「数量」ベースのSCMに対してさらに高い精度が求められます。

その上で、「数量」と「カネ」との連携を取り、事業計画との差異を常時確認しながら、その達成に一歩でも近づける着地点を探すオペレーションを日々実施することになるのです。  

必然的に、その実現の難易度はさらに上がり、日本の製造業でS&OPを実現しているのは、まだ一握りの企業に限定されています。S&OPの先にあるSCMの最終形:「機会損失防止と在庫削減の両立・最適化」 来においても、一般のSCMプロジェクトでは「機会損失防止と在庫削減の両立・最適化」はプロジェクト目的として加えられてきました。

したがって、これを最終目的とする事には、読者の皆様には違和感が有るかも知れません。

 

しかし、その目的が達成されたかどうかを判定する合理的基準自体が現在提案されていません。したがって、「機会損失防止と在庫削減の両立・最適化」を達成できたと言える企業はまだ存在しないということになるのです。

S&OPを実現している最先端を走る企業でも、SCMのKPIやその一連の体系であるスコアカードの設定を次の課題として取り上げています。 

そもそも、高度なSCMを実現するための前提、つまりその概念的な進化とITツールとしての成熟は十分だと言える状況にあるのでしょうか? 次節では、このようなSCM実現の道具の成熟度についてまず触れてみたいと思います。

 

4.SCM実践の道具は充実、しかし・・・  

 

企業がSCMに取り組もうとする際、その実現の道具には、「SCMの概念」 と 「ITツール」が有ります。 SCMの概念が提唱されてから、すでに30年以上の時間が経過しようとしてしています。 

1980年代米国で始まったQR、ECRの取り組み以降、SCMの概念は進化・拡張され、世界中で共有化されるようになりました。 その後、SCMに関する多くのテーマが発表され効果を上げた事例も大量に発表されています。 

現在の最先端テーマあるS&OPも、その基本的概念のフレームワークは、1980年代後半にはすでに完成しています。

 

しかし、現実にはそれが実現できた企業はごく少数であることは前節で述べたとおりです。 また、ITツールも目覚ましい発展を遂げています。 

従来では各企業が一から作り上げてきた基幹情報システムは、いまやERPで普通に実現することが可能になりました。 

また、グローバルな情報共有のためのコミュニケーション基盤であるインターネットも完全に定着し、無くてはならない社会インフラとしての地位を確立しました。 

SCMの司令塔とも言うべきSCP(Supply Chain Planning)の仕組みも、SCM全体の整合性のある計画を作り出せるようになっています。  

これらソフトウエア機能の進化は、IT処理能力の飛躍的な向上に支えられています。 

以前では、処理能力やデータ通信能力の限界のため断念していた処理が、ほとんど手の届くところにきています。 

今や処理能力の限界は、SCMの遅れの言い訳にはできなくなっています。  

それでは、SCMの概念的枠組みやITツールの成熟にもかかわらず、SCMの取り組みが進まないのはなぜでしょうか?

 

5.SCMが進まない本当の理由  

 

SCMのステップを進めて行こうとするときに、各ステップの前に立ちはだかる高い壁があります。  第1の壁は、「需要データ共有化・見える化の壁」です。  

需要データの統一を図ろうとしても、これまで永年使われ続けてきた各事業でのバラバラのコード体系、システムのため、これらを一元化することは極めて困難です。 

また、たとえ仕組みが出来上がったとしても、販売部門には大きな負担となり、強い強制力でルール化するか、納期回答などの見返りで販売現場への動機付けがうまくいかなければ、いずれ使われないシステムとなってしまう可能性大です。  

 

第2の壁は、「実需と供給のリンク、ブルウィップ克服の壁」です。 需要データと供給データの一気通貫ということは古くから言われていますが、そもそもデータを一元管理する仕組みを構築する事自体に大きな困難を伴います。 

さらに、仕組みが出来ても在庫責任が販売・生産の各部門に分散していると、各部門の部分最適なオペレーションのためブルウィップ効果はなかなか克服できません。  

 

第3の壁は、「数量管理と財務管理の連携(S&OP)の壁」です。 SCMを事業管理に直接連携する金額で扱うためには、その前提として数量ベースの需給管理精度が相当上がっている必要があります。 

また、モノとカネを一体で扱うため、原価管理基盤がある程度出来上がっている必要があります。   

しかし、これらは壁の表層・現象面でしかありません。   

 

真の壁は、経営トップと現場が目指すべきSCMの具体的な姿が描けず共有化できていない事です。

SCMの段階を進めていくためには膨大なエネルギーが必要です。 

しかし、SCMイメージが共有できなければ、その動機付けを行う事ができず、全社プロジェクトとして立ちあげることができないのです。

次回以降では、実体験に基づくS&OP完成に至る道のりと、道中に立ちはだかる数々の壁を乗り越える方法を、業務とITの両面から解説していきます。 乞う、ご期待!